THEME

テーマ

外国語学部
英米語学科

藤本 幸治 教授

FUJIMOTO Koji

専門は理論言語学。子供が自然に言語を覚えるのに対して、外国語の習得はなぜ難しいのかといった、第1言語と第2言語の違いを明らかにする」研究を行っている。日米の文化論にも造形が深く、映画やマンガを巡る比較文化論は「目からウロコ」と評判である。

01 統語論・生成文法

英語文法は覚えてはいけない! 万能文法
手にする学問。

覚える文法から
理解する文法へ

英語学習において、多くの人が文法につまずきます。なぜでしょうか。丸覚えや慣れで文法を習得しているからです。

私は 本を 読みます。 ( S )+( O )+( V ) I read a book. ( S )+( V )+( O )
私たちが自然に覚えてきた日本語は「主語(S)+目的語(O)+動詞(V)」の順に並びます。
かたや英語は、「主語(S)+動詞(V)+目的語(O)」。両者の違いが動詞と目的語の位置だということは誰でもわかりますね。では、どうしてそうなるのでしょうか。

上記のような簡単な文法なら丸覚えでも問題ないでしょうが、複雑な文になってくると覚える学習法では対応できません。そこで必要なのは、きちんと法則を知り、「覚える」から「理解する」文法へと転換を図ることなのです。

英語は前、日本語は後ろ。
両者は真逆の言葉

たとえば、I read a book.の文にalwaysという副詞を入れてみましょう。

① I always read a book. (〇) ② I read a book always. (〇) Always I read a book. (〇) ④ I read always a book. (×)
この例文の中で1つ違和感のある文、それは④ですね。「しっくりこない…」と感じるにはちゃんとした理由があります。

I read always a book. では、入ってはいけない場所にalwaysが置かれているから。英語の法則で、唯一副詞を入れられない場所があって、それがこの例文だとreada bookの間です。英語では「動詞(V)と目的語(O)」はペアであり、切り離すことができないのです。常に一緒に並ぶ「句」(2語以上が連なって全体で一つの品詞として機能する単位)として扱われ、どんなに長い文章の中であっても、位置関係が変わることはありません。

また、このread a bookというペアの「句」は動詞が前にきています。日本語と比較すると

read a book ×  本を読む。
と真逆の構造であることが容易にわかります。つまり、英語では中心になる語が前に位置する言語、日本語は後ろにくる言語と言えるのです。

I drink water. 私は水を飲む

動詞だけではありません。

When I was young. 私が若かった時
in the park 公園で
Man reading a book 本を読む男

などなど。名詞でも前置詞でも形容詞でも、すべて同じ法則です。英語では一番伝えたい中核の言葉が必ず前。興味深いことに、この法則に例外はありません。冒頭に挙げた英語の語順「主語+動詞+目的語」も、一番伝えたいことが動詞だから前に置くという説明が可能です。

そのような一貫した文法の理屈を学ぶのが言語学の「生成文法」や「統語論」という学問です。堅苦しい名称ですが、語学に潜む一定の法則を理解し、法則に従って理解を深める、とても実用性の高い学問であることがわかってもらえると思います。

理解が深まるのは英語だけではありません。今回のように日本語との比較から学ぶことで、日本語の構造も同時に把握できるようになります。
私がみなさんに身につけてほしいのは、素材ごとに包丁を変える必要のない万能包丁のような、いわば「万能文法」です。上記はほんの一例に過ぎませんが、「万能文法」があれば、推測力がついて未知の文法に対する判断力が増し、一見複雑に見える英文も構造を知っているので滞りなく読めるようになります。さらに、英語と同じ文法構造を持つ言語の習得が圧倒的にスムーズになるため、第2、第3外国語のマスターにもつながっていきます。
あらゆる言語にも適応可能なこの「万能文法」を皆さんにも、ぜひ手にしてほしいですね。

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